先日、私は東京都足立区のある小学校で、食農教育に関する出前授業の機会を得ました。
このイベントは子供たちに多様な職業を体験させるものでしたが、私は「畑から食卓まで」というテーマで食農教育プログラムを担当しました。
今回のブログでは、その体験を皆さんと共有したいと思います。
なぜ食育と農業が大切なのか
授業は、私の自己紹介からスタートしました。
せっかくなのでここでご紹介すると、私は茨城県つくば市に住む3人の子供を持つ母親で、10年間、子供向けの料理教室を運営してきました。
当然、レッスンで食べ物を扱う中で、食べ物の生産過程に興味を持ち、農業の仕事に目を向けるようになりました。農業と触れる機会は今の子供達にはなかなかないですが、食べ物を育てることは非常に楽しく、工夫にあふれ、創造的なものでした。
しかし今、農家がどんどん減ってきている課題を多くの農村が抱え、日本の食糧自給率の維持向上が危ぶまれています。
私は、その課題を解決したいと考えて、若い世代に食に関するスキルを手渡し、農業に触れる機会を提供すべく、オンラインの子供向け料理教室や農業体験を企画運営しています。
子供たちに私の背景を共有することで、彼らにも農業と食べ物の生産に興味を持ってもらえたら非常に嬉しいです。
授業では、農業の重要性と、新鮮な野菜がいかに素晴らしいかを説明しました。
また、残念ながら捨てられてしまう野菜の存在についても話しました。
このセクションでは、子供たちにも考えを巡らせ、なぜ野菜が捨てられるのかを議論させました。
例えば、市場の原理で需要と供給のバランスが崩れた時、農家は出荷すればするほど赤字になるので野菜を捨てざるを得ないこと。
契約生産で作っている野菜は、数量を絶対に出荷するために多めにタネをまき、余ったら畑に埋めてしまうことなどを伝えました。
形が悪くて捨てられてしまう規格外野菜の実物を見せた時には笑い声と共に、「形が悪くても食べられるんだったら僕は買うよ!」という声も聞こえてきました。
ふだん、スーパーではみられない楽しい野菜の姿は、子どもたちに、違った角度から食について考える機会を与えたのではないかと思います。
2. 乾物を使った商品開発と実践体験
次に、日本の伝統的な保存技術「乾物」に焦点を当て、捨てられてしまう野菜を利用した商品開発の話をしました。
乾物は保存性が高く、栄養価も凝縮されていて、さらに、乾物が防災食としても優れていることに触れ、日本の古くからの知恵についても学びました。
子供たちはその後、乾物を使った野菜スープキットの製作に挑戦しました。
にんじん、ねぎ、しいたけ、大根、白菜などを選び、高野豆腐と切り昆布を加えて、自分たちのスープキットを作成しました。
出汁パックも個別に持参し、自宅で野菜と出汁パックを水から煮出して味噌をとけば、簡単にスープが作れる方法も伝えました。
「今日やってみる!」と目を輝かせる子供達の姿に、生きる力を感じました。
この過程では、食品衛生にも配慮し、全員に手袋を装着してもらいました。このような体験が、いざという時の防災の心構えにもつながることを期待しています。
また、熱シール機の安全な使用方法についても教えました。
3. これからの働き方と学び
最後に、このプロジェクトがチームワークによる成果であることを強調し、現代の多様な働き方について話しました。
農業、料理、マーケティングなど、様々な分野の知識が組み合わさって、新しい価値を生み出しています。これからの時代は自らの個性を存分に発揮して、人と協力しながら仕事をする時代になっていきます。また、私のようにいろいろな仕事を同時に展開していく人も増えるでしょう。既存の考え方にとらわれず、自由に職業を選んでいってほしいと思います。
また、学校での学びが将来の夢を見つけ、それを追求する力をつけるための大切な時間であることを伝えました。
4. 農業と環境保全と食育の融合
授業の中で、農業が持続可能な環境と地球の未来にどのように貢献できるかについても触れました。
農業は単に食べ物を生産するだけではなく、環境保全、生物多様性の保護、さらには地域社会の経済にも大きな影響を与えます。
子供たちには、食べ物一つをとっても、それが持つ多面的な価値を理解してもらうことが重要だと思いました。
食農教育は、単に食べ物の生産方法を学ぶことだけではありません。
それは、健康的な食生活、食品の安全性、さらには食文化や伝統についての教育も含まれます。
この授業を通じて、子供たちは食べ物の選択が自分たちの健康だけでなく、地球環境にも影響を及ぼすことを学びました。
5. まとめ
この出前授業を通じて、食の安全や持続可能な農業の重要性を理解し、将来の食べ物に関する仕事に興味を持つきっかけになれば幸いです。
食農教育は、私たちの健康と地球の未来のために不可欠なのです。
今後もこのような教育活動を通じて、子供たちに食と農業の大切さを伝え続けたいと思います。
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